長寿命住宅は工務店が作る

福田元首相の「200年住宅」を、住宅産業界と住宅行政とが、物理的な頑丈な耐久性ある住宅をつくることだと解釈して、それには重量鉄骨構造だとか、コンクリート造だとか、大断面木造の住宅がそれを可能にするといった主張をしていますが、いずれも間違っている可能性があります。

世界の200年以上続く、中には1000年も住み継がれている長寿命住宅は、構成材料としては木造もあれば、レンガ造や石造もあります。人が住んではいませんが、日本の法隆寺なんかも木造ですね。それらが構成材料に関わりなく、長寿命を維持している理由は、人々がその住宅地や住宅に憧れ、住みたいと集まってくるような経営がされている、豊かな生活を保障する立地の住宅不動産だからです。人々は、建設されたままの住宅ではなく、それぞれの時代の文明を最大限享受できるようリモデリングを繰り返しながら、住み続けています。長寿命住宅は、人々に少ない住居費負担での生活を可能にさせ、人々は住宅を取得することで、豊かなります。長く残るのは、愛される住宅なのです。キーワードは、「いい家だね。住んでみたいね」です。


日本ほど、住宅によって国民が苦しいローン負担を強いられ、住宅によって資産を失っている国は、世界に例をみません。にもかかわらず、住宅政策に国民の関心が向いていないのは、非常に残念なことです。住生活基本法時代のデフレ基調の経済環境下で、国民の所得は確実に低下傾向を強めていくことになります。年平均3%前後で低下することは、避けられそうもありません。国民が住宅によって資産形成を実現している米国や英国から見習うべきことはたくさんあります。米国や英国が完璧とは言えないですが、米国や英国を見習わない限り、日本の住宅事情はよくなりません。


まさに、こうした住宅事情をドラッカーが言っているように自らの強みを活かすことで、改善に貢献できるのが日本の工務店のように思います。工務店の良さは、現場をみればわかるとどんな工務店の本にも書いてありますが、まじめでかつ勤勉で技術力のある工務店に是非活躍してもらいたいですし、自分もそんな工務店に家づくりを任せたいです。ちなみに、良い工務店選びのポイントは、打ち合わせ記録を残しているか、保険をかけているか、現場監督が構造を理解しているか、ポリシーや特徴があるか、質問に誠実に答えてくれるか、OB施主に会わせてもらえるか、保守点検を実際に行っている会社などだそうです。


家を建てる際は、たくさんの本や法律も含めた日本の住宅事情をよく勉強した上で建てた方がよさそうです。それは、普通に考えてみると一生で買う買い物で一番高い買い物が家だと考えられるからです。